邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:190-181

190. ノット・サティスファイド/アナーキー (1980)

アナーキーのデビューシングルで、当時よく聴いた記憶はあるのだが、オリコン週間シングルランキングにはランクインしていなかったようだ。デビューアルバム「アナーキー」にも収録されている。

当時、最もポピュラーだった日本のパンクロックバンドの1つであり、国鉄の作業服を着たビジュアルイメージも印象的であった。歌詞には政治的なメッセージ性も込められてはいるが、それよりも独特なポップ感覚が魅力的である。デビューアルバムは山下達郎も発売日に買ったといわれている。

189. 恋/星野源 (2016)

星野源の9枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

自身が出演したテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌でもあり、「恋ダンス」と呼ばれる振り付けのようなものも話題になった。

ソウル・ミュージックからの影響が色濃い音楽性と、様々な恋愛のかたちに対応した多様性を肯定するタイプのラヴソングとしての歌詞が高く評価され、親しまれもした。

188. そばかす/JUDY AND MARY (1996)

JUDY AND MARYの9枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。

テレビアニメ「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚」のオープニングテーマだが、タイアップが決まりすぐに曲をつくらなければいけなかったものの、メンバーはアニメに疎く、「キャンディ・キャンディ」ぐらいしか思い浮かばなかったという。そして、「キャンディ・キャンディ」といえば、「そばかすなんてきにしないわ」である。

「想い出はいつもキレイだけど それだけじゃおなかがすくわ」のフレーズが印象的な、ポップでキュートで切ない失恋ソングである。J-POP的なキャッチーさの中に、ニュー・ウェイヴ的なセンスも絶妙に感じられるところがとても良い。

187. 乙女 パスタに感動/タンポポ (2000)

タンポポの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

モーニング娘。が国民的アイドルグループとして人気絶頂だった00年代前半には派生ユニットも次々とヒット曲を出し、このタンポポもそのうちの1つであった。この時のメンバーは飯田圭織、矢口真里、石川梨華、加護亜依の4人である。

「お昼休みスープパスタに感動」「金曜日明日は休み」と女の子の日常を描いたキュートな歌詞だが、待っているのは「あなたとイチャイチャして過ごす日曜」である。ビートルズマニアとして知られる永田ルイのブリティッシュロック感覚溢れるアレンジがとても良い。

186. 上海ハニー/ORANGE RANGE (2003)

ORANGE RANGEの2枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。

真夏のインスタントラブに対する欲望と妄想が凝縮されたかのような、素晴らしいサマーポップである。ロックやラップのみならず、民謡やダチョウ倶楽部のお決まりギャグなど様々な要素をミックスし、明快でありながらポップスとしての強度が感じられる楽曲に仕上がっている。

185. お祭りマンボ/美空ひばり (1952)

美空ひばりの初期の代表曲の1つで、江戸っ子気質なお祭り感覚とマンボのリズムをミックスしたユニークな楽曲となっている。

お祭りは「ワッショイワッショイ」「ピーヒャラピーヒャラ」「テンツクテンツク」と盛り上がりまくるわけだが、その間におじさんは家を焼かれ、おばさんはヘソクリをとられる。曲の最後ではテンポがスローになり、「いくら泣いてもあとの祭りよ」と結ばれる。

美空ひばりが亡くなった翌々年にあたる1991年にはジャニーズ事務所のアイドルグループ、忍者が歌詞の一部を変え、「お祭り忍者」としてカバーしたバージョンがオリコン週間シングルランキングで最高3位のヒットを記録している。

184. ふたりの夏物語/杉山清貴&オメガトライブ (1985)

杉山清貴&オメガトライブの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位、「ザ・ベストテン」では1位に輝いている。日本航空のCMソングに起用されていた。

林哲司の作曲・編曲による、リゾート感覚も感じられるシティ・ポップ的な楽曲である。日本航空のCMタイアップ曲として、突貫工事的に急いで書かれ、レコーディングされたが、これがバンドにとって最大のヒット曲になった。

183. バカになったのに/The ピーズ (1989)

The ピーズのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高30位を記録した。

収録アルバムの「グレイテスト・ヒッツVOL.1」はそのタイトルからか、Apple Musicでは「ベストアルバム、その他」に分類されているのだが、同時発売された「グレイテスト・ヒッツVOL.2」と同様に、初のオリジナルアルバムである。

バンドブームの頃に登場したパンクロックをベースにしたバンドの中でも、特に批評的でリアリティーのある歌詞に定評があり、この曲においても「進学校の悲しみアホ不足」「パンチパーマでパンク しらふでバカ」などと歌われる。

「中学まではまとも」だったのだが、「自堕落ばかりがもてすぎる」ために、「だったらオイラも」と思い、「さんざんムリしてバカになったのに」という、身に覚えのある人たちにとっては共感できる内容となっている。個人的に日本のバンドブームにおいて、最も好きなバンドでもある。

182. Yes-No/オフコース (1980)

オフコースの19枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高8位を記録した。

ニューミュージックを代表するバンドによる80年代初期のヒット曲だが、シティ・ポップ的な要素も感じられ、一方でファンの間ではアイドル的な人気もあった小田和正が「君を抱いていいの」などと歌って熱狂させるという、まるでアイドルポップスのような機能も果たしている。

「君を悲しませるもの 何もなにも見ないで」は、まさに男のロマンである、と思う。

181. てぃーんず ぶるーす/原田真二 (1977)

原田真二のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高6位を記録した。この曲から「キャンディ」「シャドー・ボクサー」とデビューから3ヶ月連続してクオリティーの高いシングルをリリースし、ヒットさせたことで大いに話題になった。

ルックスの良さからアイドル的な人気も高く、Char、世良公則と共にロック御三家と呼ばれたりもした。デビュー前の松田聖子がファンだったことでも知られる。しかし、何といっても最大の魅力は当時のメインストリームの日本の流行歌としては、あまりにも洋楽的なポップセンスであった。

元々は原田真二自身によるよりヘヴィーな内容の歌詞がついていたが、「伏せ目がちのジェームス・ディーン真似ながら」というフレーズをも含む、松本隆の詞が採用された。