The 500 Greatest Songs of All Time : 30-21

30. Hey Jude – The Beatles (1968)

ビートルズが1968年8月にリリースしたシングルで、イギリス、アメリカ、いずれのシングル・チャートでも年間1位を記録するほどの大ヒットとなった。

約7分11秒と当時のシングル曲としてはかなり長めであり、重厚なコーラスが印象的な曲である。ポール・マッカートニーが両親の離婚というつらい状況にあるジョン・レノンの息子、ジュリアンのことを思いやって書いた楽曲である。

29. Waterloo Sunset – The Kinks (1967)

キンクスが1967年にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高2位を記録したが、全米シングル・チャートにはランクインしていない。

レイ・デイヴィスの頭の中に2、3年ぐらいずっとあったメロディーがベースになっていて、当初は「リヴァプール・サンセット」という曲だったのだが、ビートルズがリヴァプールをテーマにした「ペニー・レイン」を出したので、舞台をウォータールー駅やテムズ川に変更した。

情緒溢れるご当地ソングとしてひじょうに味わい深く、多くの音楽リスナーやアーティスト達がとても美しいお気に入りの曲として挙げがちである。

28. This Charming Man – The Smiths (1983)

ザ・スミスの2枚目のシングルで、全英シングル・チャートで最高25位を記録したが、解散後、1992年にベスト・アルバムが発売されるタイミングでシングルが再リリースされると、当時を上回る最高8位を記録した。

作詞とボーカルのモリッシーがとにかくクネクネ踊りながら花束を振り回して歌い、しかもその内容というのも文学的で恥じらい気味だが俄然強めであり、存在そのものがロックのマッチョイズムに対するカウンターであった。

今夜は出かけたい気分だが着ていく服がなく、それはハンサムな男が気にすることとしては酷いものだ、というようなことが歌われ、それがヒットしてしまうのがなかなか痛快であった。

27. I Heard It Through the Grapevine – Marvin Gaye (1968)

マーヴィン・ゲイが1968年にリリースしたシングルで、全米、全英、いずれものシングル・チャートで1位に輝いた。邦題は「悲しいうわさ」である。

最初にスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズがレコーディングし、その後、グラディス・ナイト&ザ・ピップスのバージョンが全米シングル・チャートで最高2位のヒットを記録するが、さらにマーヴィン・ゲイがそれを上回った。

一体、何が「悲しいうわさ」なのかというと、どうやらパートナーが以前の恋人とよりを戻し、自分を捨てようとしている可能性が高いという、いかんともしがたい状況について歌われている。

裏切りや疑念をあらわすかのような不穏なサウンドと、悲しくてどうにかなってしまいそうな気持ちを歌うマーヴィン・ゲイのボーカルが相乗効果となっていてとても良い。

26. Respect – Aretha Franklin (1967)

アレサ・フランクリンのアルバム「貴方だけを愛して」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで1位、全英シングル・チャートで最高10位を記録した。

オーティス・レディングの曲をアレサ・フランクリンがカバーしたものであり、パートナーにリスペクトを求める内容は同じなのだが、女性から男性に対して歌った曲に変わっている。

アレサ・フランクリンのパワフルなボーカル・パフォーマンスも素晴らしく、フェミニストアンセムとしても知られるようになった。

25. Gimme Shelter – The Rolling Stones (1969)

ローリング・ストーンズのアルバム「レット・イット・ブリード」の収録曲で、シングルとしてヒットしたわけではないのだが、この最高のロックンロール・バンドの魅力が最も凝縮された楽曲の1つとして、ひじょうに人気が高い。

ベトナム戦争をはじめ、当時の社会的な緊張がこの曲のテンションに影響しているようでもあるが、ミック・ジャガーが映画「パフォーマンス 青春の罠」でキース・リチャーズの恋人であるアニタ・パレンバーグと共演していたことに対するジェラシーの気分が作用しているともいわれ、実にヒューマンタッチな理由でとても良い。

リズム&ブルースやサザンロック的な要素も入り、音楽的にひじょうに充実していながら、危険で悪そうな気分も充填されている。

24. Life on Mars? – David Bowie (1971)

デヴィッド・ボウイのアルバム「ハンキー・ドリー」の収録曲だが、後に「ジギー・スターダスト」のヒットでブレイクしている頃にシングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高3位を記録した。邦題は「火星の生活」である。

フランク・シナトラのとても有名な曲「マイ・ウェイ」のパロディーでもあるのだが、デヴィッド・ボウイのボーカル・パフォーマンスの素晴らしさや、ひじょうに複雑なのだがポップ感覚に溢れたメロディーなどによって、初期の代表曲の1つとして知られる。

グラム・ロック的なロマンティシズムがドラマティックに展開されているのだが、それがけして大袈裟になりすぎず、美しくもアートなポップ感覚を高度に実現しているところがとても良い。

23. Heart of Glass – Blondie (1978)

ブロンディのアルバム「恋の平行線」からシングルカットされ、イギリスやアメリカなどのシングル・チャートで1位に輝いた。

パンク・ロックから派生したニュー・ウェイヴでありながら、ディスコソング的な要素を取り入れ、クロスオーヴァーな大ヒット曲となった。

ブラー「ガールズ&ボーイズ」などにも影響を与えているように思えるが、ブラーは「NME」のクリスマス号か何かで「恋の平行線」の頃のブロンディのコスプレをしていたことがあったような気もする。

22. Blue Monday – New Order (1983)

ニュー・オーダーが1983年にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。

当時、イギリスで12インチ・シングルが売れまくっている曲として、かなり話題になっていた記憶がある。ドラムマシンとシンセサイザーを効果的に使用したユニークな楽曲で、ボーカルはとにかくひじょうに暗い。

インディー・ロックではあるのだが、ダンス・ミュージックの手法を用いているところが特徴的であり、後のインディー・ダンスやマッドチェスター・ムーヴメントにも大きな影響を与えたといえる。

21. Good Vibrations – The Beach Boys (1966)

ビーチ・ボーイズが1966年にリリースしたシングルで、アメリカやイギリスのシングル・チャートで1位に輝いた。

初期のビーチ・ボーイズはサーフィンやホットロッドといった若者の流行をテーマにしたよりシンプルなロックをやっていたが、この頃にはブライアン・ウィルソンがスタジオワークに凝りまくり、より複雑で実験的な音楽性に変化していっていた。

特にこの曲の完成には莫大な時間と費用を要し、実に約90時間分の録音された素材から編集されたともいわれる。録音芸術のある時点における1つのピークでもあり、そのように常軌を逸したものがしっかり大衆に受け入れられもしたというのが、またすごいところである。