邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1995, Part.2

KNOCKIN’ ON YOUR DOOR/L⇔R(1995)

L⇔Rの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。

フジテレビ系のドラマ「僕らに愛を!」の主題歌に使われ、大ヒットを記録した。タイアップの影響はもちろんあるのだが、ビートルズ的ともいえるそれほどギミック感も感じられないただただ良質なギターロックチューンがここまで売れたのはやはりすごい。

とはいえ、プロデューサーサイドからはもっともっとキャッチーにというような要望はあったらしく、それとのせめぎ合いの中で制作されたようではある。

ズルい女/シャ乱Q(1995)

シャ乱Qの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

とても印象的なサックスのフレーズからはじまるファンキーなサウンドにのせて歌われるつんく♂の「Bye-bye ありがとう さよなら」、特にファルセット気味になるところを含め、そのなんというか水商売的ともいえるとても良い意味で下世話な感じなどがとても良い。

個人的には当時、「渋谷系」とブリットポップ的な音楽をメインに聴いていると共にそのようなタイプとしてアイデンティファイしようとしていたこともあり、会社の人たちとのカラオケで歌われるのを聴くことも少なくなかったこの曲に対してそれほど良い印象を持ってはいなかったのだが、いま振り返ると実に魅力的なポップソングであったことがよく分かる。

というのは、我が心の至宝的な存在である道重さゆみを見いだしてくれたモーニング娘。プロデューサーとしてのつんく♂に対しての恩義だけではないはずである。

マンピーのG★SPOT/サザンオールスターズ(1995)

サザンオールスターズの35作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

シングルCDのジャケットアートワークは「渋谷系」的な作品の数々でも知られる信藤三雄によるものだが、爺さんがあつまるスポットで「G★SPOT」というなかなかベタな駄洒落となっている。

ハイテンションでキャッチーなポップソングで、ライブでもザ・ドリフターズの加藤茶をイメージさせるハゲヅラのイメージもひじょうに強い定番曲と化しているのだが、タイトルも含めどぎついシモネタである。

サザンオールスターズというか桑田佳祐の楽曲にはデビュー当時からこのような性愛を過剰気味に取り上げた例も散見され、それゆえに田中康夫から現代の春歌呼ばわりもされたりはするのだが、国民的人気バンドとしての地位を揺るぎないものとした後も時としてこの路線を打ち出していたあたりがとても良い。

Over Drive/JUDY AND MARY(1995)

JUDY AND MARYの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

ヘビーメタルバンド、JACKS’N’JOKERのメンバーであった恩田快人が映画の撮影のため北海道を訪れた際に、当時は短大生のYUKIと知り合ったことがきっかけで結成されたバンドである。バンド名はJUDYとMARYという女性の二面性をあらわし、YUKIのキャラクターを反映したものである。

佐久間正英をプロデューサーとして迎えたアルバム「ORANGE SUNSHINE」がオリコン週間アルバムランキングで最高5位のヒットを記録した後、この曲ではシングルで初のトップ10入りを果たし、一般的にも知名度を高めていった。

YUKIのポップなボーカルとキャラクター、楽曲はキャッチーでありながらも秘かにマニアックさを感じさせるところもあって、とても聴きごたえがある。

サマーヌード/真心ブラザーズ(1995)

真心ブラザーズの12作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでの最高位は81位であった。

当時、日清カップヌードルの夏季限定商品、サマーヌードルのCMソングとしてのオファーに応え、制作された楽曲だったが、オリコン週間シングルランキングでの最高位が示しているようにそれほど大きなヒットにはならなかった(「レモングラス香るすっきりトムヤム味」のサマーヌードルもあまり売れなかった)。

フジテレビ系で平日の夕方に放送されていたバラエティー番組「パラダイスGo!Go!」の「勝抜きフォーク合戦」のコーナーで勝ち抜いたことがきっかけでデビューを果たし、当初はフォーク編成だった頃のRCサクセションを思わせもする音楽などをやっていた。

90年代に「渋谷系」的な音楽が流行しはじめると、そのモテそうな感じに対する憧れのようなものをも反映したような音楽性に変化していき、個人的には好感を持っていた。

1997年にはSMAPの楽曲などで知られるCHOKKAKUをアレンジャーに迎えたリメイクバージョン「ENDLESS SUMMER NUDE」をリリースし、オリコン週間シングルランキングで最高41位を記録する。この時点でもまだ大きなヒットには至っていないのだが、次第にサマーアンセムとして認知されるようになっていき、2013年には山下智久が主演テレビドラマ「SUMMER NUDE」の主題歌としてカバーした「SUMMER NUDE ’13」がオリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。

ミュージックビデオには真心ブラザーズのメンバーと共に、当時はまだデビュー前だったPUFFYが出演している。

Fool & the Gang/GREAT3(1995)

GREAT3のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高98位を記録した。

解散したロッテンハッツの元メンバーたちによって結成された3人組バンドで、その高い音楽性が一部でかなり評価されていた。渋谷の外資系CDショップで特によく売れていたり、洋楽を中心に聴いている音楽リスナーの中には日本のコンテンポラリーなアーティストでGREAT3だけは大好きでよく聴いているという人たちもいたような気もする。

この曲はとても聴き心地のよいポップなギターロックなのだが、テーマは失恋であり、しかも早く忘れて次の恋を見つけようというような前向きな内容ではまったくなく、いつまでもくよくよと立ち直れずにいて、「愛してたものはどこにもない それだけが全てだったのに 君の姿さえ思い出せない」などと歌われているところがとても良い。

サマージャム’95/スチャダラパー(1995)

スチャダラパーのアルバム「5th WHEEL 2 the COACH」からシングルカットされ、オリコン週間シングルランキングで最高56位を記録した。

1990年にアルバム「スチャダラ大作戦」でデビューするが、当時はラップミュージックが日本でビジネスとして成立するのかがまだまだ懐疑的な状況であり、「ラップじゃ食えんよ ギャラ10円」「日本じゃどうかな ヒップホップミュージック」といったライムをも含んでいた。

アメリカのヴィブラフォン奏者、ボビー・ハッチャーソンの楽曲をサンプリングしたリラクシンなサウンドにのせて、当時における日本の夏あるある的な内容がラップされていく。「夏本番 海か? 山か? プールか? いや まずは本屋」というフレーズには膝を打ったものだが、いまや街に本屋もそれほど残ってはいない。

それはそうとして、「夏用のテープとかはしっかり作る」音楽ファンあるあるがタイトルにもなっているのだが、「熱めのお茶だ 意味深なシャワーだ」はサザンオールスターズ「夏をあきらめて」からの引用、「薄着! 背のび ちょいカイホー的! テキーラッ! ハメ外しちまおう」の軽快さなどもとても良い。

LOVE LOVE LOVE/DREAMS COME TRUE(1995)

DREAMS COME TRUEの18作目のシングルとして「嵐が来る」との両A面でリリースされ、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでも1位に輝いた。

TBS系のテレビドラマ「愛していると言ってくれ」の主題歌で、元々はメンバーの中村正人がデビュー前にバレンタインデーのお返しとして当時の恋人のために作詞作曲した「ホワイトデー」という曲の、歌詞を吉田美和が書き直したものである。

エレガントなイントロに続いて歌われる「ねぇ どうして すっごくすごく好きなことただ 伝えたいだけなのに ルルルルル うまく言えないんだろう…」の時点ですでにつかみは完璧なわけだが、それ以降も好きな人に対しての真っ直ぐな想いが切々と歌われる素晴らしいラヴソングである。