洋楽ロック&ポップス名曲1001:1996, Part.3

Beck, ‘Where It’s At’

ベックのアルバム「オディレイ」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高61位、全英シングルチャートで最高35位を記録した。

オールドスクールのヒップホップやエレクトロなどに加え、性教育のレコードまでをもサンプリングした、ハイブリッドで最新型のポップミュージックとして収録アルバムと共に高く評価されていた。

Space, ‘Female of the Species’

イギリスはリバプール出身のオルタナティブロックバンド、スペースのデビューアルバム「スパイダース」に先がけてリリースされたシングルで、全英シングルチャートで最高14位、アメリカではビルボードのモダンロックトラックチャートで最高15位を記録した。

ラテンフレーバーとラウンジミュージック的なセンスも感じられるユニークな楽曲で、ブラックユーモア的な歌詞も特徴なのだが、1967年の映画「キッスは殺しのサイン」のウォーカー・ブラザーズによるテーマソングから影響を受けているのではないかともいわれる。

また、タイトルは1911年に出版されたラドヤード・キップリングの詩「種の女性」に由来していると思われる。

Nas feat. Lauryn Hill, ‘If I Ruled the World (Imagine That)’

ナズのアルバム「イット・ワズ・リトゥン」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高53位、全英シングルチャートで最高12位を記録した。

フージーズのメンバーであったローリン・ヒルがソロアーティストとしてフィーチャーされた最も初期の楽曲である。

オールドスクールのラッパー、カーティス・ブロウの同名曲をベースにしていて、フーディーニ「フレンズ」のビートをサンプリングしたり、ローリン・ヒルのヴァースではデルフォニックス「ウォーク・ライト・アップ・トゥ・ザ・サン」を引用している。

レイシズムに対する怒りをも表明したこの楽曲のミュージックビデオはハイプ・ウィリアムスがニューヨークのタイムズスクエアで撮影したもので、冒頭ではナズが別の楽曲である「ザ・メッセージ」をラップしている。

Dodgy, ‘Good Enough’

ロンドン出身の3人組ロックバンド、ドッジーのアルバム「フリー・ピース・スウィート」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高4位を記録した。

ブリットポップバンドの1つとして知られ、キャッチーなメロディーやコーラスが特徴なのだが、この曲は特にグルーヴィーであり、メインストリームでもクロスオーバーヒットを記録することになった。

タワーレコード渋谷店の地下でトーク&握手会のようなイベントをたまたまやっていて、参加したのだが、ボーカリストのナイジェル・クラークがやたらと疲れているように見えた記憶がある。

Spice Girls, ‘Wannabe’

スパイス・ガールズのデビューシングルで、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、オーストラリア、香港などのシングルチャートで1位を記録した。

メンバーそれぞれキャラクターが明確であり、ニックネームで呼ばれたりもしていた。世界中にガールズパワー旋風を巻き起こす大人気ぶりで、様々なキャラクターグッズが発売されたり映画が制作されたりもした。

これ以降もヒット曲が続くのだが、ヒップホップを取り入れたこの曲のインパクトがやはりひじょうに強く、ミュージックビデオも印象的であった。

音楽、映画、アート、ファッションなどイギリスのポップカルチャーにひじょうに勢いがあった当時、スパイス・ガールズの存在もその1つとして見られがちであった。

Blackstreet feat. Dr. Dre, ‘No Diggity’

アメリカのR&Bグループ、ブラックストリートのアルバム「アナザー・レベル」から最初のシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高8位を記録した。

ドクター・ドレーとクイーン・ペンをフィーチャーしたこの楽曲はビル・ウィザース「グランマズ・ハンズをサンプリングしていて、繰り返されるピアノのフレーズがひじょうに印象的である。