80年代の夏に全米でヒットしていた曲ベスト20

80年代の夏に全米ではどのような曲がヒットしていたのかを、実際に当時の全米シングル・チャートを参考にして割り出してみた。まずは夏を毎年6月から9月までの3ヶ月間と規定し、80年代のその期間の全米シングル・チャートのうち、上位10曲を1位が10点、10位が1点という具合に集計し、合計点を算出してみた。まったくの同点だった場合には、より高い順位に長い間ランクインした方を上位とした。というわけで、上位20曲が決まったので、カウントダウン形式で発表していきたい。

20. Roll With It – Steve Winwood (1988)

スペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィック、ブラインド・フェイスなどのメンバーとして60年代から活躍していたベテランアーティスト、スティーヴ・ウィンウッドは80年代に入り、また新たにキャリア上のピークを迎えていた。R&Bからの影響を取り入れた大人のロックが大いに受けて、全米シングル・チャートでは4週連続1位を記録した。ジュニア・ウォーカー「ロードランナー」に似ているということで、後にソングライターのクレジットにホーランド=ドジャー=ホーランドが追加された。

19. Believe It Or Not (Theme from “Greatest American Hero”) – Joey Scarbury (1981)

スーパーヒーローが主人公のコメディドラマ「アメリカン・ヒーロー」のテーマソングで、全米シングル・チャートで最高2位を記録した(「ビルボード」ではなく「キャッシュ・ボックス」や「レコード・ワールド」のチャートでは1位になっていた)。アメリカのシンガー・ソングライター、ジョーイ・スキャベリーにとっては、マイク・ポストとスティーヴン・ゲイヤーによって書かれたこの曲が唯一のトップ40ヒットとなっている。「アメリカン・ヒーロー」のドラマは日本でも放送されていて、一部に人気があった。

18. Ghostbusters – Ray Parker Jr. (1984)

映画「ゴーストバスター」の主題歌として大ヒットして、全米シングル・チャートで3週連続1位を記録した。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」によく似ているとして、問題になったりもした。レイ・パーカーJr.はブラック・コンテンポラリー的なオッシャレーな楽曲もたくさんヒットさせているのだが、すっかりこの曲のイメージがついてしまった。

17. Little Jeannie – Elton John (1980)

エルトン・ジョンのアルバム「21 AT 33」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高3位を記録した。ヒットしたわりにはそれほど有名なわけでもなく、エルトン・ジョンのライブでもあまり演奏されないようだ。

16. I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me) – Whitney Houston (1987)

ホイットニー・ヒューストンのアルバム「ホイットニーⅡ~すてきなSomebody」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで「すべてをあなたに」「恋は手さぐり」「グレイテスト・ラヴ・オール」に続き、4曲連続となる1位に輝いた。80年代ダンス・ポップの良いところが凝縮されたような、楽しくてとても良い曲である。

15. Alone – Heart (1987)

ハートのアルバム「バッド・アニマルズ」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで3週連続1位を記録した。産業ロック的なパワーバラードともいえる音楽性で、これもまた1つの典型的な80年代サウンドである。

14. Dancing In The Dark – Bruce Springsteen (1984)

ブルース・スプリングスティーンのアルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」からの先行シングルで、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。シンセサイザーの導入など、コンテンポラリーなトレンドを取り上げているのが特徴的だが、テーマは苦みばしった大人の苦悩とでもいうべき、いかにもブルース・スプリングスティーンらしいものである。

13. Magic – Olivia Newton-John (1980)

オリヴィア・ニュートン・ジョンが主演した映画「ザナドゥ」のサウンドトラックアルバムから先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで4週連続1位に輝いた。1980年の年間シングル・チャートでは、ブロンディ「コール・ミー」、ピンク・フロイド「アナザ・ブリック・イン・ザ・ウォール」に次ぐ3位にランクインしている。

12. Electric Avenue – Eddy Grant (1983)

イギリスのシンガー・ソングライター、エディ・グラントのアルバム「カリビアン・キラー」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。イギリスのブリクストンに実在するエレクトリック・アヴェニューのことがテーマになっていて、ミュージック・ビデオがMTVでヘビーローテーションされたことがヒットにつながったともいわれる。

11. Rosanna – Toto (1982)

TOTOのアルバム「TOTOⅣ~聖なる剣」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。AORのファンの間ではすでにひじょうに人気があり、日本でもアルバムがよく売れていたのだが、この曲とアルバムのヒットによって、より一般大衆的にも広まっていった。

10. Don’t You Want Me – The Human League (1981)

イギリスでは1981年の年末に大ヒットしていたが、アメリカでも翌年の夏に1位に輝いた。当時の全米シングル・チャートで、こういったシンセ・ポップ的な楽曲はまだそれほど多くはなく、かなりのインパクトがあった。この曲やソフト・セル「汚れなき愛」などのヒットに先導されるようにして、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンが盛り上がっていった印象がある。邦題は「愛の残り火」である。

9. Jessie’s Girl – Rick Springfield (1981)

オーストラリア出身のリック・スプリングフィールドは元々が音楽アーティスト志望だったのだが、ルックスの良さからまず俳優として人気が出た。そして、1981年にはこの曲が全米シングル・チャートで2週連続1位に輝いた。友達のガールフレンドに恋をしてしまうというテーマが分かりやすく、軽快なロック・チューンにもマッチしていた。

8. Eye Of The Tiger – Survivor (1982)

映画「ロッキー3」のテーマソングで、全米シングル・チャートで6週連続1位に大ヒットを記録した。本当はクイーン「地獄へ道づれ」を使いたかったようなのだが、使用許可が下りなかったため、サバイバーにオファーされたようである。

7. Coming Up (Live at Glasgow) – Paul McCartney & Wings (1980)

ポール・マッカートニーのソロ・アルバム「マッカートニーⅡ」からイギリスや日本ではニュー・ウェイヴ的なアルバム収録のバージョンがシングルA面としてカットされたのだが、アメリカではウィングスとのライブ・バージョンの方がA面として発売され、全米シングル・チャートで3週連続1位を記録した。この年のはじめ、ポール・マッカートニーは来日公演を予定していたが、大麻の不法所持で成田空港で逮捕され、拘留されたために中止となっていた。

6. It’s Still Rock And Roll To Me – Billy Joel (1980)

ビリー・ジョエルのアルバム「グラス・ハウス」から2枚目のシングルとしてカットされ、全米シングル・チャートで2週連続1位を記録した。意外にもこれがビリー・ジョエルにとって、シングルとしては初の全米NO.1ヒットであった。邦題は「ロックンロールが最高さ」で、当時のトレンドであったニュー・ウェイヴなどを意識したようでもある。

5. Hurts So Good – John Cougar (1982)

ジョン・クーガーのアルバム「アメリカン・フール」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。邦題は「青春の傷あと」である。この次にシングル・カットされた「ジャック&ダイアン」が全米シングル・チャートで1位に輝き、完全にブレイクした後はアーティスト名をジョン・クーガー・メレンキャンプ、さらには本名のジョン・メレンキャンプに変更していった。

4. Bette Davis Eyes – Kim Carnes (1981)

キム・カーンズのアルバム「私の中のドラマ」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで計9週の1位を記録し、年間チャートでも1位に輝いた。カントリーなども歌っていたシンガーだが、この曲においてはニュー・ウェイヴ的でもあるサウンドにハスキーなボーカルがうまくハマっていた。邦題は「ベティ・デイビスの瞳」である。

3. When Doves Cry – Prince (1984)

プリンスが主演した映画「パープル・レイン」のサウンドトラックアルバムから先行シングルとしてリリースされ、5週連続1位、年間チャートでも1位に輝いた。確かにポップでキャッチーでもあるのだが、ベースの音が入っていないのをはじめ、ユニークすぎる楽曲であり、これがメインストリームで大ヒットしたのはやはりすごいことだったといえる。

2. Flashdance…What A Feeling – Irene Cara (1983)

映画「フラッシュダンス」のテーマソングとして、全米シングル・チャートで6週連続1位、年間チャートでは3位を記録した。アイリーン・キャラにとっては、1980年の「フェーム」に続く映画絡みのヒット曲となった。日本のオリコン週間シングルランキングでも1位に輝いているのだが、80年代の洋楽ではこの曲とノーランズ「ダンシング・シスター」のみが記録している。

1. Every Breath You Take – The Police (1983)

ポリスの最後のオリジナルアルバム「シンクロニシティ」からシングル・カットされ、8週連続1位、年間チャートでもマイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」を抑えて1位に輝いている。7月9日付の全米シングル・チャートでアイリーン・キャラ「フラッシュダンス~ホワット・ア・フィーリング」にかわって1位になってから、9月3日付でユーリズミックス「スイート・ドリームス」に抜かれるまでずっと1位であった。

「見つめていたい」の邦題で知られるこの曲は純粋なラヴソングとして解釈されがちでもあったのだが、スティングによると偏執狂的でストーカーじみた歪んだ愛情をテーマにしているようだ。ゴドレー&クレームが監督したモノクロームのミュージック・ビデオも高く評価されていた。