ザ・キンクス「ユー・リアリー・ガット・ミー」について

ザ・キンクスのシングル「ユー・リアリー・ガット・ミー」は1964年8月4日にイギリスでリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。アメリカでは約1ヶ月遅れでリリースされ。全米シングル・チャートで最高7位を記録するのだが、これによって第1次ブリティッシュ・インヴェイジョンを象徴するバンドの1つとして知られるようにもなっていく。また、この「ユー・リアリー・ガット・ミー」を後のヘヴィー・メタルやパンク・ロックといったサブジャンルのプロトタイプとする説もあり、ラウドでヘヴィーなサウンドは当時のシーンにおいてひじょうにインパクトがあったのではないかとも想像できる。

レイとデイヴのデイヴィス兄弟を中心とするザ・・キンクスはロンドンで結成され、パイ・レコードと契約した。デビュー・シングルはリトル・リチャーズ「のっぽのサリー」のカバーで、これは「メロディー・メイカー」のチャートでは最高42位を記録した。続く「ユー・スティル・ウォント・ミー」はレイ・デイヴィスによるオリジナル曲だったが、全英シングル・チャートにはランクインすらしなかった。次のシングルがヒットしなければ契約を打ち切られそうな状況だったのだが、3枚目のシングルとしてリリースされた「ユー・リアリー・ガット・ミー」が大ヒットした。

レイ・デイヴィスが好んで聴いていたブルーズや、ザ・キングスメンがヒットさせていた「ルイ・ルイ」から影響を受けているようだ。よりブルージーなバージョンと2パターンがレコーディングされ、後に録音された方がシングルとして発売された。歪んだような独特のギターサウンドは、デイヴ・デイヴィスがアンプのスピーカーをカミソリで切り裂くなどした結果、生まれたものだといわれている。「ユー・リアリー・ガット・ミー」のギターソロは、当時、セッション・ミュージシャンだったジミー・ペイジが実は弾いているとする説が流布されたりもしたのだが、これは幾度にもわたってはっきりと否定されている。

また、「ユー・リアリー・ガット・ミー」はレイ・デイヴィスが学生時代に見たとても魅力的な女性がモデルになっているという。急いで追いかけたのだが見つけることはできず、再び出会うこともなかった。

1978年にはヴァン・ヘイレンがデビュー・シングルとして「ユー・リアリー・ガット・ミー」のカバーバージョンをリリースし、全米シングル・チャートで最高36位を記録した。