Johnnie Ray, ‘Cry’ (1951)
ジョニー・レイはロックンロール時代以前に若者を熱狂させた歌手といわれていて、その代表曲がこの「Cry」である。恋人から別れの手紙が届き悲しくて泣くという、まったくマッチョ的ではないというかむしろその真逆なタイプの楽曲なのだが、当時、批評家からは概ね不評だったが一般大衆にはわりと受けてビルボードでも1位に輝いたようである。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズによる80年代の大ヒット曲「カモン・アイリーン」で言及されていたことなどでも知られるのだが、とにかく男性が悲しい気持ちを率直に吐露することがある意味において一種の芸術的な価値を持ちうるということをポップミュージックのフォーマットで証明したごく初期の楽曲の1つだということはできるのかもしれない。
Muddy Waters, ‘(I’m Your) Hoochie Coochie Man’ (1954)
ウィリー・ディクソンが作詞・作曲したマディ・ウォーターズの代表曲で、ストップタイムと呼ばれる演奏の停止を効果的に用いる手法に特徴がある。この曲のリフは以降、アレンジを加えられながら様々なアーティストの楽曲に引用されることになり、それによってこの曲自体のスタンダードとしての評価も定着していったようだ。歌詞には神秘的なところもありながら、性的魅力などを誇示してもいる。
Bo Diddley, ‘Bo Diddley’ (1955)
ボ・ディドリービートして知られ、後にポップミュージック史上の様々な楽曲に受け継がれた独特なビートを有名にした楽曲だが、そのルーツはアフリカ系アメリカ人音楽の伝統であるハムボーンに遡る。長年のパートナー、ジェローム・グリーンの演奏でエコーが効果的にかけられたマラカスのサウンドも印象的なこの楽曲は全米R&Bチャートで1位に輝き、後にバディ・ホリーによるカバーバージョンはポップチャートでもヒットを記録した。
Little Richard, ‘Tutti Frutti’ (1955)
「Whop bop b-luma b-lop bam bom」と書き起こされたりもする出だしのシャウトからしてすでにインパクト抜群なロックンロールというかポップ・ミュージック史における超重要曲で、リトル・リチャードの代表曲である。とはいえ、最もヒットした曲かといえばまったくそんなことはなく、全米R&Bチャートで最高2位、ポップチャートでは最高17位となっている。タイトルはイタリア語で「すべての果物」という意味で、フルーツを使ったアイスクリームのフレーバーの一つや砂糖菓子の一種として知られる。元々はより性的な意味合いを持つ歌詞だったのだが、レコーディングにあたってマイルドに書き直されたともいわれる。

